昨今、サスティナブルな取り組みをはじめるファッション企業が増えてきています。SDGsの社会浸透から新規事業として始められたサービスもあります。そんな素晴らしいチャレンジをご紹介していきます。
事例①:環境問題に取り組むMUJI新宿
9月にリニューアルオープンしたMUJI新宿では、消費者から回収した服をほつれ・破れがあり、今まで規格から外れていたものに関しても、パッチワークなどの加工を施して再商品化しています。またこれまで染めに回せていなかった素材や色も対象となり、洗いなおして、古着として販売しています。そのことで廃棄物の削減、資源の循環化を目指しています。
事例②:廃棄もセールもしないD2Cブランド「ソージュ(SOEJU)」
ソージュは無駄の少ないブランドビジネスを目指して長く着用できる商品をセールを行わずに販売していました。とはいうものの、アパレルビジネスに消化率100%はありません。一般的には売れ残った商品は廃棄されます。そして廃棄=焼却には多くのエネルギー消費、二酸化炭素の排出が行われています。そんな中ソージュは廃棄をせずセールもせずキャリー品の価格改定をして別サイトで販売。その際プロパーで購入してくれた消費者を裏切らない様、工夫をしているとの事です。廃棄しないというポリシーはすごいです。 参考記事)https://www.wwdjapan.com/articles/1265281
事例③:土屋鞄製作所
消費者が使わなくなった土屋鞄製作所のレザーバッグを無料で引き取り、職人がリペアして再販売(リセール)する事業に参入する。レザーは風合いなどの経年変化が楽しめる商品でもあるから、この事業との相性はすごく良いように感じる。店舗をもつ他のレザーバッグブランドも追従すべきサービス。またサスティナブルな時代に突入しリペア職人の価値が日に日に増してくるとも感じます。
MUJIでやっていた流れが他企業にも。。
サスティナブルな取り組みで、今後リペアできる職人が重宝される時代へ突入か。 土屋鞄製造所、リユース事業に参入 同社革製バッグを無料で引き取り、職人が修理して再販売 https://t.co/We2mEMb1mO — マコ編集長|ファッションEC研究所 (@fashionec_lab) September 28, 2021
参考記事)https://eczine.jp/news/detail/9701
これからの展望と課題
このように今ファッション企業が取り組んでいるサスティナブルは、「リユース」「リセール」系が中心です。取り組みやすいし自社の強みを生かしやすい。はたまた経営理念を反映しやすいからです。しかし、消費者に浸透していくにはいくつかの課題があると感じています。
課題①:リセール系の売り場でもファッション感度を落とさないVMDや見せ方を!
MUJI新宿に訪れたとき、正直言うとあまり買いたいと思いませんでした。商品量は多すぎる、服は乱れて陳列されている…と無印良品の良さが消えていました。(個人的にはMUJI新宿は大好きですし、MUJIで服を買うほど好意的に見ていますが(;^_^A)リセール系の商品はそれだけで新品より清潔感に欠けます。だからこそVMDや陳列には今まで以上にこだわってほしいものです。(古着屋とは一線を画してほしい)
課題②:良い取り組みをしていても消費者が知らなければ意味がない。PRに力をいれよう
素晴らしい取り組みでも消費者が知らなければ意味がありません。サスティナブルなサービスや活動は今まで以上にPRに力をいれましょう。「社会が変わる」ための第一歩は「知ること」だと思います。知ることからはじめよう!
課題③:新品の売上減でも成長できるビジネスモデルを!
リユース商品の販売、リペアして長く使ってもらう・・・いずれも素晴らしい理念ですし共感する消費者もいると思います。一方で1商品当たりライフタイムが長くなるとその分新品を買わなくなります。「新品の売上が減ってもサスティナブルな取り組みをしていくこと」と「企業の持続的成長」を両立させるための解は未だ示されていないと感じます。 これらの課題には試行錯誤が必要だと思います。業界全体で取り組んでいければいいなと思います。